古くなった太陽熱温水器の調子が悪くなってきた、という声は少なくありません。水漏れや湯量不足、サビによる腐食など、年数の経過とともにトラブルが増える傾向にあります。そんなとき、気になるのが「交換にいくらかかるのか」という費用面の疑問です。
この記事では、太陽熱温水器の交換費用の目安や施工の流れ、補助金活用のポイントなどを分かりやすく解説します。無駄なく、安全・安心に入れ替えるための知識をまとめていますので、ぜひご一読ください。

太陽熱温水器の交換にかかる費用の内訳
撤去費用(例:約3万円~)
古い太陽熱温水器を取り外す際には、撤去費用が発生します。費用は設置場所や製品の大きさによって異なりますが、屋根上の高所作業を伴う場合は足場代が加算されることもあり、その場合はお見積りが必要となります。
撤去時にはタンク内部の残水処理、配管の切断、固定金具の取り外し、屋根の補修なども含まれるため、DIYでの作業は危険を伴います。安全に、そして建物にダメージを与えず撤去するには、実績のある業者に依頼することが重要です。撤去費用は交換費用全体の中でも見落とされがちな項目ですが、事前に確認しておくことで予算のズレを防げます。
新規機器代(例:20万〜40万円)
交換する太陽熱温水器の本体価格は、製品の性能やタンク容量、設置タイプによって幅があります。一般的な家庭用モデル(200〜300L)であれば、20万円〜40万円程度が主流です。
設置・施工費用(例:5万〜15万円)
新しい太陽熱温水器を設置する際には、本体以外にも施工費用が発生します。配管接続、タンク設置、架台取り付けなどの作業が含まれ、一般的な相場は5万円〜15万円前後です。屋根の勾配や設置場所の高さ、住宅の構造によって作業の難易度が変わるため、価格に幅があります。
費用を抑えたい場合は、「既存の配管再利用」が可能かどうか業者に相談してみると良いでしょう。自社施工を行う業者であれば中間マージンが発生せず、施工費が比較的抑えられる傾向があります。また、設置後の点検や保証が含まれているかも、価格比較時の重要なポイントです。
追加費用が発生するケース(屋根補強・配管延長など)
想定外の追加費用が発生することもあります。たとえば、屋根の下地が傷んでいて補強工事が必要な場合や、給湯器までの距離が長く配管の延長工事が必要になるケースです。
これらの費用は、現地調査をして初めて判明することが多いため、無料見積りを実施してくれる業者を選ぶと安心です。
また、古い機器の設置位置が特殊だった場合や、建物が3階建て以上などの場合は、高所作業費や特殊資材費が加算されることもあります。事前の確認を怠ると、見積もり後に「思ったより高かった」というトラブルになりかねません。こうしたリスクを避けるためにも、明細のはっきりした見積書を提示してくれる業者を選びましょう。
施工パターン別|交換工事の流れと注意点
太陽熱温水器の交換工事は、既存の設置方法や住宅環境によって施工内容が異なります。ここでは代表的な3つの施工パターンと、それぞれの流れ・注意点についてご紹介します。
屋根上から屋根上への交換
屋根の上に既設の太陽熱温水器が設置されている場合、最も一般的なのが「屋根上から屋根上への交換工事」です。この場合、まず古い機器の撤去作業が行われ、次に新しい本体と貯湯タンクを既存の架台位置または補強された新しい架台に設置します。
屋根上は高所作業となるため、安全性の確保が最重要です。足場の設置が必要になることも多く、施工費用に加算されるケースがあるため、見積り時に確認しておきましょう。
また、屋根の状態が悪化している場合には、瓦の補修や下地の強化工事が必要となることもあります。10年以上前に設置された太陽熱温水器は、機器の重量に耐えられるような設計がされていないこともあるため、安全面から補強を含めた施工が推奨されます。
古い配管・架台の再利用はできる?
コストを抑えたい場合、既存の配管や架台が再利用できるかは気になるポイントです。結論から言えば、「条件が整っていれば一部再利用は可能」ですが、多くの場合は劣化や規格違いのため交換が推奨されることがほとんどです。
特に、古い機器に使われていた銅配管やステンレス部材は、サビやパッキンの劣化が進んでおり、新しい機器と接続するには不適合な場合があります。また、架台も現行製品の重量や寸法に合っていないことがあるため、安全面を優先し交換部材も含めた施工計画を立てるのが基本です。
ただし、一部のリフォーム業者では部分的な配管流用や再設置施工に対応できるケースもあります。費用を最小限に抑えたい方は、再利用の可否も含めて無料点検時に相談しておくとよいでしょう。
安全な撤去工事の重要性
太陽熱温水器の交換工事で見落とされがちなのが、撤去作業そのものの安全性と慎重さです。タンク内にはまだ温水が残っていることがあり、排水処理を誤ると住宅周辺の配管や外壁を傷める原因になります。
また、屋根上設置の場合は、金具や架台の取り外しに失敗すると、屋根材が破損するリスクがあります。撤去費用を安く済ませようとして不慣れな業者に任せると、後々の修繕費がかさむことにもなりかねません。
安全で丁寧な撤去を行っているかどうかは、その業者の信頼度にも直結します。施工実績が豊富で、撤去〜新設まで一貫対応可能な自社施工業者を選ぶことが、失敗のない交換工事につながります。

交換と修理、どちらを選ぶべき?判断のポイント
太陽熱温水器に不具合が出たとき、最初に迷うのが「修理で済むのか、それとも交換すべきか」という判断です。コスト面だけでなく、安全性や耐久性の観点からも、適切なタイミングでの判断が重要になります。このセクションでは、判断の参考となる基準とそれぞれの選択肢の特徴を整理して解説します。
特に太陽光発電システムの一部であるパワーコンディショナー(パワコン)に異常が見られる場合は、症状の見極めが大切です。故障時の対処法や修理費用の目安については「太陽光発電のパワコンが故障した時の症状と対処法解説!交換費用や修理方法も徹底紹介」で詳しく解説しています。
修理で済むのはどんなケースか
太陽熱温水器が比較的新しい(設置から10年未満)場合や、一部の部品に不具合があるだけであれば、修理で対応できるケースもあります。たとえば以下のような状態が該当します。
- パッキンやバルブの劣化による軽微な水漏れ
- 貯湯タンクの保温材の破損
- 集熱パネルの一部破損(交換部品が入手可能な場合)
- ボールタップの修理
このような場合は、1万〜5万円程度の出費で修理が完了することもあり、交換よりも経済的です。ただし、「一時しのぎ」にしかならないケースも多く、複数箇所が同時に劣化していると再修理のコストがかさむことがあります。
交換を選んだ方が結果的に安くなる場合
以下のような状態に当てはまる場合は、修理よりも交換を選んだ方が結果的にお得になるケースが多くなります。
- 設置から15年以上が経過している
- 同じ不具合を繰り返している
- 補修用部品がすでに製造終了している
- タンクや配管に穴あき・腐食が確認された
これらの状況では、修理費用が積み重なるばかりか、安全性に問題が出る可能性もあるため、一度の投資で長期的な安定運用ができる「交換」の方が合理的です。
特に貯湯タンクの腐食やパネルの内部破損は、外観では分かりにくいこともあるため、専門業者による点検が判断の決め手になります。
太陽光発電のシステム全体の寿命や劣化原因についても併せて確認したい方は「太陽光発電の寿命はどれくらい?劣化の原因や寿命を延ばす方法を詳しく解説」で詳しく解説しています。
修理対応が難しい古いメーカー・機種
もうひとつの交換推奨ポイントは、「すでに製造終了しているメーカー・機種」をお使いの場合です。特に10〜20年前に普及していた機種の中には、すでに部品供給が終了している製品も多数存在します。
たとえば、下記のような場合は修理ができても、代用品の流用や応急処置にとどまることが多く、耐久性に疑問が残るため、交換を検討したほうが安心です。
- メーカーが事業撤退している
- 製品型番がすでに登録抹消されている
- 専用パーツが特注で割高になっている
このようなケースでは、仮に修理ができたとしても、次回の不具合に対応できなくなる可能性が高く、そのたびに工事の手間と費用がかかってしまいます。業者によっては交換と修理の見積りを同時に提示してくれるところもあるため、比較検討しやすい環境を選ぶことがポイントです。
費用を抑えて交換するための3つのコツ
太陽熱温水器の交換は、施工費・機器代・撤去費などを含めると、決して小さな出費ではありません。しかし、ポイントを押さえれば費用を抑えて賢く交換することも可能です。このセクションでは、コストを抑えるために実践したい3つのテクニックを紹介します。
キャンペーンを活用する
施工業者によっては「春の交換キャンペーン」「夏の省エネ応援割引」など、季節限定で数万円の割引が受けられる特典を用意していることもあります。公式サイトやチラシに情報がない場合でも、相談時にキャンペーン適用の可否を確認することで、思わぬ割引を受けられることがあります。
自社施工の業者を選ぶ(中間マージン対策)
施工業者を選ぶ際に注目したいのが、「自社施工」かどうかという点です。中には営業窓口だけを持ち、実際の工事は別の下請け会社が担当する業者も存在します。こうしたケースでは、中間マージンが上乗せされ、費用が高くなる傾向があります。
一方、自社で現地調査から施工、アフターフォローまで一貫して対応している業者であれば、中間費用が発生しないため施工価格を抑えることができます。また、担当者が最初から最後まで責任を持って対応してくれるため、工事中のトラブルも発生しにくく安心です。
施工実績が豊富で、なおかつ地域密着型で活動している業者ほど、価格と品質のバランスがとれた「良心的な施工」が期待できるため、見積もり段階で「自社施工かどうか」を確認することが大切です。
点検・複数見積もりで比較する
費用を抑えるために、点検と複数社からの見積り取得は非常に有効です。特に、古い設備を撤去して交換する場合は、建物の状態や屋根の強度によって追加工事の有無が左右されるため、現地確認なしの概算見積りには注意が必要です。
信頼できる業者は、無料で現地調査を行い、詳細な内訳を提示した正確な見積書を出してくれるのが一般的です。また、複数の業者に依頼して比較することで、「相場感」がつかめるようになり、不自然に安い、もしくは高い費用の見極めができるようになります。
最近では、LINEやメールでの簡易見積り受付や、オンライン相談にも対応している業者も増えているため、手間をかけずに複数社比較が可能です。価格だけでなく、サービス内容・保証期間・施工体制も含めて比較することで、納得のいく交換が実現できるでしょう。
まとめ|後悔しない太陽熱温水器の交換は“タイミングと業者選び”が鍵
太陽熱温水器の交換は、費用も工程も決して小さくはありませんが、古くなった設備を放置することで発生するリスクや損失を防ぐためにも、早めの判断が重要です。撤去費や施工費、機器代の内訳を把握したうえで、無料見積りを活用すれば、無理なく納得できるかたちで交換を進めることができます。
特に、信頼できる施工業者選びが成否を分ける大きな要因です。「費用の見える化」「丁寧な説明」「アフターサポートの充実」など、総合的な視点で判断するようにしましょう。
まずは、無料現地調査や無料点検の相談から。今使っている機器の状態を正しく把握することが、後悔しない交換工事の第一歩です。
