太陽熱温水器は光熱費の節約に役立つ設備ですが、水漏れが発生することがあります。原因を特定し、適切な対処を行わないと、屋根や住宅に悪影響を及ぼす可能性があります。
本記事では、水漏れの主な原因、修理方法、業者に依頼すべき判断基準について詳しく解説します。

太陽熱温水器の水漏れが発生する主な原因
太陽熱温水器の水漏れは、経年劣化、部品の不具合、屋根の影響など、さまざまな要因によって発生します。特に長期間使用している場合や、メンテナンスが不十分な場合は、水漏れのリスクが高まります。
ここでは、主な原因とその兆候について解説します。
経年劣化による配管や部材の劣化
太陽熱温水器の配管や部材は、長年の使用で劣化し、水漏れの原因になります。 特に、金属部分の腐食やゴム部品の劣化が進むと、水漏れが発生しやすくなります。
劣化しやすい部品と症状
- 配管の接続部分 → ひび割れや腐食による水漏れ
- タンクの内部 → サビや亀裂が原因で漏水
- パッキン(シール材) → ゴムの硬化や摩耗で密閉性が低下
水漏れの兆候
- タンク周辺や配管から水がにじみ出る
- 給湯の水圧が弱くなる
- 温水が安定しない、または水温が下がる
経年劣化による水漏れは、初期の段階で修理すれば大きなトラブルを防げます。 定期的な点検を行い、早めの補修や部品交換を検討しましょう。
太陽熱温水器の点検方法やメンテナンスの重要性については「太陽熱温水器のメンテナンスと修理ガイド|点検方法・注意点・安全な管理方法を徹底解説!」で詳しく解説しています。
ボールタップやパッキンの不具合
太陽熱温水器の水漏れは、ボールタップやパッキンの劣化が原因で発生することもあります。これらの部品は給水や水圧の調整に関わる重要なパーツであり、定期的な点検が必要です。
ボールタップの不具合
ボールタップは、タンク内の水位を調整し、必要な量だけ給水するための部品です。 しかし、劣化や異物の詰まりによって正常に作動しなくなることがあります。
【ボールタップが原因の水漏れの兆候】
- タンクから水があふれる(給水が止まらない)
- オーバーフロー管から常に水が流れ続ける
- 晴れた日に雨樋から水が流れる
ボールタップが故障すると、無駄な水の流出が続き、水道代が増加する可能性があります。異常を感じたら、早めに点検・交換を検討しましょう。
パッキンの劣化
パッキンは、配管の接続部分やタンクの密閉に使われるゴム製の部品で、水漏れを防ぐ役割を持っています。しかし、長年の使用による劣化や硬化が進むと、密閉性が失われ水漏れの原因になります。
【パッキン劣化による水漏れの兆候】
- 配管の接続部分から水がにじみ出る
- タンクの底や側面に水たまりができる
- 給湯時にポタポタと水が漏れる
放置すると漏れが悪化し、タンクや配管全体の交換が必要になるケースもあります。定期的に点検し、劣化が見られたら早めにパッキンを交換することが大切です。
施工不良による影響
設置時の施工不良も、水漏れの原因になります。特に、固定金具の緩みやシーリング材の劣化によって、屋根との接続部分から水が入り込むことがあります。
【施工不良が原因の水漏れの兆候】
- 設置から数年で水漏れが発生した
- 温水器周囲の瓦が浮いている
屋根上の問題は自分での確認が難しいため、気になる症状があれば専門業者に相談するのが安全です。
太陽熱温水器の水漏れを放置するとどうなる?
水漏れをそのままにしておくと、住宅や屋根へのダメージが進行し、修理費用が高額になるリスクがあります。また、光熱費の増加や安全面の問題も無視できません。
住宅や屋根への悪影響と光熱費の増加
屋根や外壁の劣化
屋根の破損部分から水が侵入すると、雨漏りが発生し、建材が腐食する原因になります。特に、木造住宅では柱や梁が湿気を吸収し、耐久性が低下する可能性があります。
光熱費の無駄な増加
水漏れによって温水が適切に供給されなくなると、お湯を作るために余計なエネルギーが必要になります。その結果、ガス代や電気代が上がる原因になります。
放置が招くさらなるリスク
- 水漏れ箇所が拡大し、大規模な修理が必要になる
- 湿気によるカビや腐食で、住宅全体の価値が下がる
- 配管の破損が進むと、交換工事が必要になる
初期の段階で修理すれば、大掛かりな工事を防ぐことが可能です。早めの対応を心がけましょう。
自分でできる太陽熱温水器の水漏れ修理方法
太陽熱温水器の水漏れは、軽度な場合であればDIYで修理できるケースもあります。 ただし、誤った対応をすると状況が悪化する可能性があるため、修理可能な範囲を見極めることが重要です。
簡単な修理・補修の手順と注意点
自分で修理できるケース
- 配管の接続部分からの軽微な水漏れ(シール材の劣化など)
- パッキンの劣化による漏れ(パッキンの交換で対応可能)
- ボールタップの動作不良(部品交換が簡単な場合)
修理の手順
- 水漏れ箇所を特定する
- どこから水が漏れているのかを確認し、応急処置が可能か判断。
- 必要な道具を準備する
- モンキーレンチ、シールテープ、防水補修材などを用意。
- パッキンやシール材を交換する
- 劣化したパッキンを新品に交換し、シール材をしっかり塗布。
- 修理後の水漏れ確認
- 修理が完了したら、再び水を流して問題が解決したかチェック。
注意点
- 高所作業は危険が伴うため、無理をしないこと。
- 修理後も水漏れが続く場合は、専門業者に依頼する。
- タンク内部の破損や配管の大きなひび割れはDIYでは対応困難。
無理な修理は状況を悪化させる可能性があるため、対処できる範囲を見極めることが重要です。
DIYで修理する際に必要な道具と材料
自分で太陽熱温水器の水漏れを修理する場合、適切な道具と材料を準備することが重要です。修理箇所に応じて、必要なものを揃えましょう。
基本的な修理道具
- モンキーレンチ(配管の締め直しに使用)
- プラスドライバー・マイナスドライバー
- シールテープ(配管の接続部分の補強)
- 防水補修テープ(応急処置用)
- ゴム手袋(作業中の安全確保)
修理に必要な材料
- 交換用パッキン(劣化したゴム部品の交換用)
- シリコンシーラント(防水性を高めるための補修剤)
- ボールタップ(水位調整装置の交換用)
- 耐熱ホース(劣化した配管の交換用)
修理作業をスムーズに進めるために、事前に必要な部品を確認し、揃えておくことが大切です。
応急処置で対応できるケースとできないケース
水漏れの状況によっては、応急処置で一時的に対応できる場合と、専門業者に依頼しないと根本的な解決が難しい場合があります。判断を誤ると、修理が遅れ、大きなトラブルにつながる可能性があるため注意が必要です。
応急処置で対応できるケース
- 配管の接続部分からの軽微な水漏れ
→ シールテープや防水補修テープで一時的に補修可能。 - パッキンの劣化による水漏れ
→ 劣化したパッキンを交換することで解決できる。 - ボールタップの不具合による水漏れ
→ 交換用ボールタップが手に入れば自分で修理可能。
応急処置では対応できないケース
- タンク本体に亀裂や腐食がある
→ タンク交換が必要になるため、DIYでは対応困難。 - 配管に大きなひび割れがある
→ 応急処置では漏れが再発する可能性が高いため、専門業者に依頼したほうがよい。 - 屋根や固定金具に問題がある
→ 高所作業が伴うため、安全面を考慮し業者に任せるのが賢明。
応急処置で済むと思っても、根本的な解決が必要な場合は専門業者に相談することを検討しましょう。

修理が難しい場合の専門業者の選び方
水漏れの状態が悪化していたり、高所作業が必要な場合は、専門業者に依頼するのが安全です。ただし、業者によって対応力や料金に差があるため、信頼できる業者を選ぶことが重要になります。
業者依頼の判断基準と費用の目安
業者選びのポイント
- 太陽熱温水器の修理実績が豊富か確認
- 見積もりを複数社から取り、料金を比較する
- 口コミや評判をチェックして信頼性を確認
修理費用の目安
- パッキンやボールタップの交換:5,000円~15,000円
- 配管の補修・交換:20,000円~50,000円
- タンク本体の交換:100,000円以上
費用は作業内容や業者によって変動するため、事前にしっかりと見積もりを取ることが大切です。
悪質業者を避けるためのチェックポイント
太陽熱温水器の修理を依頼する際、悪質な業者に引っかからないよう注意が必要です。特に、「高額な請求」「不要な修理の押し売り」などのトラブルに巻き込まれないよう、以下のポイントを押さえて業者を選びましょう。
事前に確認すべきポイント
- 「無料点検」と称して、強引に契約を迫る業者は避ける
- 見積もりの内訳が明確でない業者には注意
- 口コミや評判を調べ、悪い評価が多い業者は避ける
- 「今すぐ修理しないと危険」と不安をあおる業者は信用しない
依頼前にできる対策
- 複数の業者に見積もりを依頼し、相場を把握する
- 修理内容をしっかり説明してくれる業者を選ぶ
- 作業後に追加費用を請求しないか確認する
悪質業者を避けるためには、焦らず慎重に業者を選ぶことが重要です。信頼できる業者に依頼することで、適正な価格で確実な修理を受けることができます。
修理・交換・撤去のどれを選ぶべきか
太陽熱温水器の水漏れが発生した場合、修理するべきか、交換が必要なのか、それとも撤去した方がよいのか判断が必要です。それぞれの選択肢について、適したケースを解説します。
修理を選ぶべきケース
- 配管やパッキンの軽微な劣化が原因
- タンクやパネルに大きな損傷がない
- 修理費用が安く、十分な耐用年数が残っている
軽微な水漏れであれば、修理で対応できる可能性が高いため、まずは修理の可否を検討しましょう。
交換を選ぶべきケース
- タンクやパネルにひび割れ・腐食が発生している
- 使用年数が15年以上で劣化が進んでいる
- 修理費用が高く、新しい機種に買い替えた方が経済的
本体が劣化している場合は、修理より交換の方が長期的にコストを抑えられることもあります。
太陽熱温水器の寿命や耐用年数、撤去・交換の目安については「太陽熱温水器の寿命とデメリットを徹底解説!耐久性向上方法・修理撤去費用まで詳しく紹介!」で詳しく解説しています。
撤去を選ぶべきケース
- 長期間使用しておらず、今後も使う予定がない
- 屋根の負担を軽減したい
- 太陽光発電など別の設備を導入する予定がある
太陽熱温水器を撤去すると、屋根のメンテナンスがしやすくなるメリットもあります。 使わなくなった設備をそのまま放置するのではなく、必要に応じて撤去を検討しましょう。
太陽熱温水器の修理や交換、撤去の判断基準については、トラブル事例や費用相場を踏まえて「太陽熱温水器の修理・交換費用は?トラブル事例・DIYの注意点・メンテナンスの重要性を解説!」で詳しく解説しています。
まとめ
太陽熱温水器の水漏れは、経年劣化や部品の不具合、屋根の破損が主な原因です。軽度な水漏れであればパッキンやボールタップの交換、シール材の補修で対応できることもありますが、タンクのひび割れや配管の大きな破損がある場合は、修理ではなく交換や撤去を検討する必要があります。
水漏れを放置すると、屋根や住宅全体へのダメージが進行し、修理費用が高額になるリスクがあります。定期的な点検とメンテナンスを行い、早めの修理を心がけることが大切です。
業者に依頼する場合は、見積もりを複数取り、信頼できる業者を選ぶことが重要です。焦って決めず、適切な対応を行いましょう。
