太陽熱温水器を長年使用しなくなったまま放置していませんか? 屋根の上に設置されたままの温水器は、経年劣化による水漏れ・固定金具の緩み・落下リスクなどの問題を引き起こす可能性があります。
本記事では、太陽熱温水器の撤去が必要な理由や、撤去方法、費用の相場について詳しく解説します。また、DIYでの撤去の可否とそのリスク、業者に依頼すべき判断基準についても説明するので、安全かつスムーズに撤去するための参考にしてください。

太陽熱温水器の撤去が必要な理由とは?
使わなくなった太陽熱温水器を屋根の上に放置していると、さまざまなリスクが発生します。 経年劣化が進むと、安全面や住宅の維持管理にも影響を及ぼす可能性があるため、適切なタイミングでの撤去が推奨されます。
ここでは、放置することで発生するリスクや、実際に起こり得るトラブルについて解説します。
屋根の上に放置すると起こるリスク
長期間放置された太陽熱温水器は、次のようなリスクを引き起こす可能性があります。
- タンクや配管の劣化による水漏れ
屋根や外壁に水が染み込み、建物の老朽化を早める - 固定金具やワイヤーの腐食・緩み
強風や地震時に温水器が落下する危険性が高まる - 重量による屋根への負担
長期間の荷重で屋根材が損傷し、リフォーム費用が高額になる
特に、古い設備は設置から10年以上経過していることが多く、目に見えない部分で劣化が進行している可能性があります。
水漏れ・落下・劣化によるトラブル事例
実際に、太陽熱温水器を放置したことで発生したトラブルの事例を紹介します。
【水漏れが発生し、屋根裏の木材が腐食】
配管の劣化により水漏れが発生し、屋根の内部に水が浸入。気づかないうちに木材が腐り、屋根の修理が必要になった。
【固定金具の劣化で温水器が傾き、落下寸前に】
設置から20年以上経過し、ワイヤーや固定金具が錆びてしまい、強風の影響で温水器が傾いた。幸い落下はしなかったが、早急な撤去が必要になった。
【屋根への負担が原因で、雨漏りが発生】
温水器の重量が屋根に負担をかけ、瓦がズレたり割れたりして雨漏りの原因となった。撤去後に屋根の補修を行うことになった。
このようなトラブルを未然に防ぐためにも、使わなくなった太陽熱温水器は早めに撤去することが重要です。
太陽熱温水器の撤去方法|DIYと業者依頼の違い
太陽熱温水器の撤去は、自分で行う方法と専門業者に依頼する方法の2つがあります。 DIYで対応できるケースもありますが、作業には危険が伴うため、慎重に判断することが重要です。
ここでは、自分で撤去する場合の手順とリスク、業者に依頼する際のメリットについて解説します。
自分で撤去する手順と必要な道具
小型の太陽熱温水器や、設置場所が作業しやすい環境であれば、DIYで撤去できる可能性があります。 ただし、屋根の上での作業になるため、安全対策を万全にした上で慎重に進めましょう。
【DIY撤去に必要な道具】
- スパナ・レンチ(固定ボルトを緩めるため)
- ワイヤーカッター(固定用ワイヤーを切断するため)
- ドライバー(配管や金具の取り外し)
- 防護手袋・安全ゴーグル(作業中のケガ防止)
- ロープ・滑り止め付きの靴(屋根上での安全確保)
【DIY撤去の手順】
- 温水器のタンク内の水を完全に抜く
- 撤去作業中に水がこぼれると危険なので、必ず排水しておく。
- 配管の取り外し
- 接続部をスパナで緩め、給水・給湯管を外す。
- 水漏れが発生しないよう、配管の先端をしっかりキャップで塞ぐ。
- 固定金具やワイヤーを取り外す
- ワイヤーカッターやレンチを使い、固定具を慎重に緩める。
- 温水器を屋根から降ろす
- 重量があるため、一人ではなく数人で作業することが推奨される。
- ロープを使ってゆっくり地面に降ろすと安全。
- 撤去後の屋根を点検し、補修が必要か確認する
- 設置跡の金具やネジ穴を塞ぎ、防水処理を行う。
DIY撤去のリスクと注意点
太陽熱温水器の撤去には、以下のようなリスクが伴います。
- 屋根上での転倒・転落の危険性
(安全対策を怠ると重大な事故につながる) - 重いタンクやパネルの落下事故
(1人ではなく、複数人での作業が推奨される) - 誤った撤去方法による屋根の破損
(固定具の取り外しミスで屋根材が損傷する) - 配管の誤処理による水漏れ発生
(給湯器への接続部分に影響が出る可能性あり)
特に、屋根の上での作業に慣れていない場合や、大型の温水器を撤去する場合は、無理をせず業者に依頼するのが安全です。
プロの業者に依頼すべき判断基準
太陽熱温水器の撤去は、自分で行うことも可能ですが、作業の難易度や安全性を考慮すると、プロの業者に依頼するのが最適な場合もあります。 ここでは、業者に依頼すべきケースと、信頼できる業者の選び方について解説します。
こんな場合は業者に依頼を!安全な撤去が必要なケース
以下のような状況では、無理にDIYをせず、専門の業者に依頼することをおすすめします。
【温水器のサイズが大きく、重量がある場合】
300L以上の大型タンクは非常に重く、一人での作業は危険。
【屋根の傾斜が急で、作業が難しい場合】
傾斜のある屋根では滑落のリスクが高いため、安全対策が必要。
【固定金具が錆びており、取り外しが困難な場合】
錆びついたワイヤーやボルトを無理に外すと、屋根材を傷める可能性がある。
【屋根の状態が不安定で、撤去後に補修が必要な場合】
長年放置された温水器は、撤去後に屋根の防水処理や補修が必要になることが多い。
【配管の処理が複雑で、水道や給湯器に影響を与える場合】
給湯器と接続されている場合、誤った撤去をすると給湯設備全体に影響を及ぼす。
このような場合は、専門業者に依頼することで、安全かつ確実に撤去作業を行うことができます。
業者選びのポイントと信頼できる会社の見極め方
業者に依頼する場合、適正な価格で安心して作業を任せられる会社を選ぶことが重要です。
【信頼できる業者を選ぶポイント】
- 複数の業者から見積もりを取る
- 費用の相場を把握し、不必要な追加料金がないか確認する。
- 撤去後の屋根の補修まで対応しているか確認する
- 金具の撤去跡や屋根材の補修が必要な場合、別途工事が発生することがある。
- 廃棄処分まで含めたサービスかどうかをチェックする
- 撤去した太陽熱温水器の処分費用が別途かかるかどうかを確認する。
- 対応エリアや実績を確認し、口コミをチェックする
- 地域に対応している業者かどうか、実際の利用者の評判を確認する。
- 作業内容や保証について明確に説明があるか
- 作業の流れや保証内容を詳しく説明してくれる業者は信頼できる。
業者によって費用や対応範囲が異なるため、事前にしっかり比較検討することが大切です。

太陽熱温水器の撤去費用と相場を解説
太陽熱温水器の撤去費用は、設備の大きさや設置環境によって異なります。 また、撤去後の屋根の補修や廃棄処分の有無によっても、総費用が変動します。ここでは、撤去費用の目安や、コストを抑える方法について解説します。
撤去にかかる工事費用の目安
一般的な太陽熱温水器の撤去費用は以下の通りです。
撤去内容 | 費用相場(税別) |
小型温水器の撤去(タンク容量100L以下) | 3万~5万円 |
中型温水器の撤去(タンク容量100~200L) | 5万~8万円 |
大型温水器の撤去(タンク容量200L以上) | 8万~15万円 |
撤去後の屋根補修(防水処理・瓦修理) | 3万~10万円 |
撤去した温水器の廃棄処分 | 1万~3万円 |
特に、大型の温水器は撤去作業が難しくなるため、費用が高くなる傾向があります。 また、屋根の補修が必要な場合は、追加費用がかかるため、事前に見積もりを確認することが重要です。
撤去費用を安く抑える方法
撤去費用をできるだけ抑えたい場合、以下のポイントを活用するとコストダウンが可能です。
【複数の業者から見積もりを取る】
1社だけで決めず、最低でも2~3社から見積もりを取ることで、適正価格を把握できる。
【自治体の補助金や助成金を活用する】
一部の自治体では、太陽熱温水器の撤去やリフォームに対して補助金を提供していることがある。
【撤去と屋根修理を同時に依頼する】
撤去後の屋根補修が必要な場合、別々に依頼するよりも、まとめて工事を依頼した方が費用を抑えやすい。
【処分費用を削減できる業者を選ぶ】
業者によっては、撤去した太陽熱温水器の買取やリサイクルを行っており、処分費を削減できるケースがある。
事前に撤去にかかる総費用を把握し、コストを抑える工夫をすることで、無駄な出費を防ぐことができます。
撤去後の処分方法とリフォームの流れ
太陽熱温水器を撤去した後は、適切に処分する必要があります。 また、撤去した後の屋根の補修や、給湯システムの切り替えを検討することも重要です。ここでは、撤去後の処分方法や、リフォームの流れについて解説します。
太陽熱温水器の適切な処分方法
撤去した太陽熱温水器は、一般のゴミとして処分することはできません。 以下の方法で適切に処理しましょう。
① 業者に処分を依頼する
多くの撤去業者では、撤去と処分をセットで対応してくれます。処分費用は1万~3万円程度が相場ですが、業者によって異なるため、事前に見積もりを確認しましょう。
② 自治体の粗大ゴミ回収を利用する
地域によっては、太陽熱温水器を自治体の粗大ゴミとして回収してもらえる場合があります。ただし、大型のものは回収対象外となるケースが多いため、事前に自治体へ問い合わせて確認しましょう。
③ リサイクル業者に依頼する
一部のリサイクル業者では、使用可能な部品を回収し、資源として再利用するサービスを提供しています。費用が安くなる場合もあるため、環境負荷を考慮したい場合におすすめです。
撤去後の屋根補修と給湯システムのリフォーム
太陽熱温水器を撤去した後は、屋根の状態を確認し、必要に応じて補修を行うことが重要です。
【撤去後の屋根補修の流れ】
- 撤去後の屋根の状態を確認(固定金具の跡や破損の有無をチェック)
- ネジ穴や配管跡を防水処理(雨漏りを防ぐためのコーキング処理)
- 屋根材の修復・塗装を実施(傷みがある場合は補修を検討)
屋根の補修費用は、軽微な補修なら3万~5万円、全面補修が必要な場合は10万円以上かかることもあります。
【給湯システムの切り替え】
太陽熱温水器を撤去した後の給湯方法として、以下の選択肢があります。
- ガス給湯器に切り替える(設置費用:約10万~20万円)
- 電気温水器に交換する(設置費用:約15万~30万円)
- エコキュートを導入する(設置費用:約30万~50万円)
撤去を機に、ライフスタイルに合わせた給湯システムを検討すると、快適な生活が維持しやすくなります。
まとめ
使わなくなった太陽熱温水器を放置すると、水漏れや落下リスク、屋根の損傷といった問題が発生する可能性があります。 安全に撤去するためには、状況に応じた適切な方法を選ぶことが重要です。
以下、太陽熱温水器を撤去する際に押さえておきたいポイントです。
- 放置せず、劣化が進む前に撤去を検討する
- DIY撤去は慎重に判断し、安全対策を徹底する
- 重量がある場合や屋根の状態が不安な場合は、業者に依頼する
- 撤去後の屋根補修や給湯システムの切り替えも考慮する
- 複数の業者から見積もりを取り、適正価格で依頼する
撤去作業にはリスクが伴うため、安全に確実に撤去するには、専門業者に依頼するのが最も安心な選択肢です。 まずは信頼できる業者に相談し、適切な方法で撤去を進めましょう。
