太陽光発電の売電価格が低下する中、発電量を増やして収益を最大化する方法の一つが「増設」です。既存のシステムにパネルを追加すれば、電気代削減や売電収入の向上が期待できます。
しかし、費用や制度の規制、業者選びなど注意点も多いため、慎重な判断が必要です。本記事では、増設のメリット・デメリット、費用、失敗しないためのポイントを解説します。

太陽光発電を増設するメリットとデメリット
太陽光発電の増設には、発電量の向上や電気代の節約といったメリットがありますが、設置コストや規制への対応といったデメリットも存在します。ここでは、それぞれのポイントを詳しく解説します。
発電量アップによる売電収入の増加
太陽光パネルを増設することで、発電量が増え、売電収入の向上が期待できます。 特に日中の発電量が増え、自家消費分を超えた電力を売電できる可能性が高くなるため、収益の最大化につながります。
増設による発電量アップのメリット
- 自家消費分を増やし、電気代を削減できる
- 売電に回せる電力が増え、収益を向上させることが可能
- 電気使用量が多い家庭・企業ほど経済効果が大きい
ただし、売電価格は年々下がっているため、増設のタイミングや費用対効果をしっかり見極めることが重要です。
設備費用や工事コストなどのデメリット
太陽光発電の増設には、初期費用や工事費用がかかるため、経済的な負担が発生します。増設後の売電収入や電気代削減分でコストを回収できるか慎重に判断することが重要です。
増設にかかる主なコスト
- 太陽光パネルの追加費用(メーカーや性能によって価格が変動)
- パワーコンディショナーの容量増強費(場合によっては交換が必要)
- 設置工事費(屋根の補強や配線工事が発生することも)
また、既存の設備と相性が合わない場合、思ったように発電効率が向上しないリスクもあります。そのため、発電量や費用対効果を試算し、慎重に検討することが重要です。
太陽光発電の増設はどんなケースで有効か
太陽光発電の増設は、売電収入の向上や自家消費の拡大を目的とする場合に特に有効です。ただし、FIT制度や売電価格の変化を理解し、増設が本当にメリットになるかを見極めることが重要です。
FIT制度の影響と売電価格の変化
FIT(固定価格買取制度) は、太陽光発電の売電価格を一定期間保証する制度ですが、年々買取価格が低下しています。
売電価格の変化のポイント
- 過去と比較して売電単価が大幅に低下
- 10kW以上のシステムはFIT期間終了後に市場価格で売電
- 今後の増設は「自家消費」を重視する傾向が強まる
特に、FIT期間が終了した後の売電価格は市場に依存するため、増設の目的を「売電収入」だけでなく「電気代削減」にシフトすることが重要です。
10kW以上・10kW未満の違いと認定手続き
太陽光発電の増設を検討する際、システムの合計出力が10kW以上か未満かによって、適用される制度や手続きが異なります。
10kW以上の特徴
- FIT期間が20年(売電価格は低下傾向)
- 余剰売電だけでなく全量売電も可能
- 産業用として扱われ、申請手続きが複雑になる
10kW未満の特徴
- FIT期間が10年(期間終了後は市場価格で売電)
- 基本的に余剰売電のみ(全量売電は不可)
- 住宅用として扱われ、比較的申請が簡単
認定手続きの流れ
- 増設後の合計出力を確認(10kW以上になるかどうか)
- FIT認定の変更申請(増設後の売電契約を確定)
- 電力会社への申請・接続工事(既存設備と統合するための手続き)
10kWを超えると手続きや規制が厳しくなるため、増設前にしっかりと確認が必要です。
増設時の費用とコストの考え方
太陽光発電の増設にはパネルの購入費、工事費、電力会社への申請費用などが発生します。増設の費用対効果を高めるためには、設備の選び方や見積もりの比較が重要です。
パネル・設備の価格と見積もりのポイント
増設費用はパネルの種類やシステムの仕様によって異なります。 以下のポイントを押さえて見積もりを確認しましょう。
主な費用項目
- 太陽光パネルの追加費用(性能やメーカーによって価格差がある)
- パワーコンディショナーの交換・増設費用(容量が不足する場合に発生)
- 設置工事費(架台の強化や配線工事の有無で変動)
見積もりのチェックポイント
- 総額だけでなく、内訳を確認する(不要な費用が含まれていないかチェック)
- 複数の業者から見積もりを取り、価格を比較する
- 保証期間やメンテナンスの内容も考慮する
費用を抑えながら効率的に増設するためには、適切な設備選びと業者選定が不可欠です。
補助金・助成金の活用でコストを抑える方法
太陽光発電の増設には費用がかかりますが、補助金や助成金を活用することで初期コストを抑えることが可能です。制度は自治体や国によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
活用できる主な制度
- 国の補助金制度(省エネ関連の支援策など)
- 自治体の助成金(都道府県や市町村ごとに異なる)
- 蓄電池との併用で受けられる補助金(対象となる場合がある)
補助金を受ける際のポイント
- 申請期間や条件を事前に確認する(予算上限があるため早めの手続きが重要)
- 業者に相談しながら申請手続きを進める(経験のある業者ならスムーズに対応可能)
- 補助金が適用される機器や設置条件をチェックする(対象外の機器を選ばないよう注意)
適用可能な補助金を活用すれば、増設費用の負担を軽減しつつ、より効率的な発電システムを構築できます。
増設の注意点と失敗しないための対策
太陽光発電の増設を成功させるには、既存システムとの互換性や設備の適合性をしっかり確認することが重要です。適切な対策を講じないと、思ったように発電量が伸びない、売電契約に影響が出るといったトラブルが発生する可能性があります。
既存システムとの互換性と確認すべき点
増設時は、新しく追加するパネルやパワーコンディショナー(PCS)が既存設備と適合するかを事前に確認する必要があります。互換性がないと、発電効率の低下やシステムトラブルの原因になります。
確認すべき主なポイント
- パネルの種類や出力の違い → 既存パネルと異なる仕様だと発電効率に影響
- パワーコンディショナーの対応容量 → 増設によって容量不足になる可能性
- 電力会社への申請が必要か → 増設によって売電契約の変更が必要になるケースも
特に、異なるメーカーのパネルを組み合わせる場合は、出力特性の違いが発電量に影響するため注意が必要です。
信頼できる業者の選び方とトラブル対策
太陽光発電の増設を成功させるには、実績のある信頼できる業者を選ぶことが重要です。適切な業者を選ばないと、高額な費用を請求されたり、ずさんな施工による発電効率の低下といったリスクが発生する可能性があります。
業者選びのチェックポイント
- 太陽光発電の増設実績が豊富か確認する
- 見積もりの内訳が明確か(不明瞭な費用がないか)
- アフターサービスや保証内容が充実しているか
- 口コミや評判を調べ、信頼できる業者か判断する
トラブルを避けるための対策
- 複数の業者に見積もりを依頼し、価格や提案内容を比較する
- 契約前に増設後の発電量や費用対効果をしっかりシミュレーションする
- 工事後に問題が発生した際の対応方法を確認する
安さだけで業者を選ぶのではなく、品質やサポート体制も考慮しながら慎重に選定することが大切です。

太陽光発電の増設時によくある質問
増設による発電量の向上で電気代の削減や売電収入の増加が期待できますが、売電価格の低下や設備費用を考慮し、費用対効果をしっかり試算することが重要です。
FIT制度の買取価格は年々下がっており、10kW以上では市場価格での売電に移行するケースもあります。 そのため、今後は売電収入よりも自家消費のメリットを重視する傾向が強まっています。
増設によって発電量が増えると、既存のパワーコンディショナーの容量を超える可能性があります。 その場合は、新しいものに交換するか、並列運用が可能な機種を選ぶ必要があります。
太陽光発電の増設実績が豊富で、保証やサポート体制がしっかりしている業者を選ぶことが重要です。複数の業者から見積もりを取り、価格だけでなく施工の質も比較しましょう。
国や自治体によって補助金・助成金制度が異なるため、最新情報を確認することが必要です。特に、蓄電池と併用することで補助金対象になる場合もあるため、事前に調査しておくと良いでしょう。
まとめ:増設は慎重な判断が重要
太陽光発電の増設には多くのメリットがありますが、設置費用や制度の変化を考慮し、慎重に判断する必要があります。 「とりあえず増設すればお得」という考えではなく、目的・費用・設備の適合性・業者選びをしっかり検討し、納得のいく選択をすることが大切です。
長期的な視点で増設の価値を判断し、最適な方法で太陽光発電を最大限に活用しましょう。
